【月夜水の詩】管理人夜子の、清水玲子作品世界全般+『秘密』ファンブログ
2017.06.  12345678910111213141516171819202122232425262728293031 2017.08.
薪さんの詩。新作です。



 「僕の願い。」


僕は何故、生きているのだろう。
過ちをおかし、罪を見過ごし、
部下を傷つけ、亡くし。
それでも何故、生きているのだろう。


僕が自ら、命を絶てないからだ。
僕の脳を、誰にも見られたくない。
けれど、その願いは、許されない願いだ。
死してもなお、この脳を見られたくない。
それは、許されない願いで。
それが故、僕は生きる日を、死んでしまう日を、
のばしているのだ、今は。


僕はまだ、「第九」の夢を見る。
科学警察研究所所長なのに、
「第九」のことしか考えられない。
「第九」の未来しか、考えられない。
僕はまだ、「第九」を愛しているのだ。
散り散りになっても、まだ、
つながっていたいと、願う。


人を裁く資格など、僕にはないのに。
善悪など、罪など、人には裁けないのに。


今はただ、僕の幸せではなく、
僕のために、僕がいたために、
赤子のうちに両親を亡くした少女と、
娘を亡くした老婆の幸せを、祈る。
彼女らの不幸が僕のせいならば、
何故彼女らを絶望させ、不幸にしてまで、
自分だけ幸せになれるだろうか。


これは自己犠牲などではない。
僕の勝手な願いだ。


これ以上部下の不幸を見て、
僕は耐えられるはずがない。


自分が幸せにならなくていいのではなく、
自分が苦しみたくないからだ。


自分の過失で、また誰かが不幸にならないように。
自分の行動で、また誰かが泣き叫ぶことがないように。


生まれてきたのが間違いだったかもしれない僕と、
出会ったが故に悲しみ、傷つき、嘆く人が、
どうかもう、一人でもいませんように。






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2016.11.02 (Wed) 08:17
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